2010年04月11日

大山顕氏の不正について 08

当記事は、「大山顕氏の不正について 01」「02」「03」「04」「05」「06」「07」からの続きです。
未読の方は、「01」から順に御覧ください。

今回のやりとりの中で、意識していたニュースがありました。
コミックナタリー - マンガ大賞2009発表!大賞は末次「ちはやふる」
デイリーポータルZに連絡する少し前のことだったので、重なって見えたのだと思います。
末次由紀さんという漫画家の方は、過去に他の漫画家の作品をトレースして掲載してしまい、その結果、単行本が全て絶版・回収の対象となり、末次さん御自身も2年ほど漫画家としての活動を停止せざるをえなかったようです。
復帰後に描かれた「ちはやふる」という作品で、マンガ大賞を受賞されたのですが、授賞式を欠席され、その理由として以下のコメントが発表されました。
過去に犯した間違いというものがあり、自分はまだこういう場に出て行けるような人間ではない。一生懸命マンガを描いていくことでしか恩返しはできない
晴れの席でもあり、あえて触れる必要もなかったことだと思うのですが、御自身の犯した不正に対して正面から向き合ってる姿が、私には清々しく思えました。
もちろん、そんな不正などはじめからしない漫画家の方が大半なわけで、「何を甘えたことを。」と思われるかもしれませんが、このコメントには、きっと同じあやまちを繰り返すことはないだろうと信じさせるものがありました。
裏切られたと感じた読者の中にも、もう一度応援しようと思った方がいたんじゃないでしょうか。
私は、大山さんにもそんな姿勢を見せてほしいと、今回の不正を御自身の歴史の一部とし、正面から向き会ってほしいと、そんな期待を抱いていました。
大山さんに宛てた要望書は、そんな気持ちを込めたメッセージでもありました。
残念ながら、その期待にはまだ応えていただけません。

私の考えを、かなり正確に代弁してくださった記事があったので、ぜひ御一読ください。
失望 - From the End of the Sky
大山さんは、御自身の運営されているサイト上で、イベントの告知を積極的にされていますが、それに対して、不正に関する告知は前述の通りです。
結果的に読者を騙したわけですが、なぜそれは積極的に知らせないのでしょうか?
私には、不正を犯したこと自体よりも、そのことの方が恥ずかしいことのように思えます。
大山さんの記事を楽しまれている方が、偶然どこかで不正を知ることとなったとき、どんな気持ちになるのかを考えてみたことはないのでしょうか?
私が、トロ・ステーションの件について大山さんからの報告を待ったように、読者も、せめて大山さんの言葉で知りたいのではないでしょうか?
もう純粋に楽しんでもらえないからと、記事の再掲の提案を断られました。
たしかに、不正を知らずにいる間は、読者も純粋に記事を楽しめるのかもしれませんが、知らずにいた期間が長くなればなるほど、知ったときの失望は大きく、他の記事まで疑わしく思えてしまいます。
純粋に楽しむことをできなくさせてしまっているのは、大山さん御自身ではないでしょうか?
御自身の不正に正面から向き合う姿勢を見せることで、読者はもう一度、大山さんの記事を純粋に楽しむことができるようになると思います。

もはや、何が本当のことなのかわからない状態になっていますが、大山さん御自身は、今回の不正は故意ではなく、無意識に起こしてしまった事だと説明されています。
不正を行ったときに意識があったかどうかは別としても、時間が経ってすっかり忘れてしまっていたのは事実なのでしょう。
ならば、大山さんが自覚していないだけで、他にも同様のことがまだあるのかもしれません。
「手のりポッド」「テトぐるみ」について」にも書いたとおり、「手のりポッド」だけでなく、「テトぐるみ」の記事においても、あたかも御自身が製作したかのような錯覚を起こす表現をされていました。
実際、「テトぐるみ」を大山さんのプロデュースと勘違いしている人はいて、大山さんや「テトぐるみ」の作者と身近な方まで誤解していたようです。
偏愛のインフラストラクチュア - 身辺メモ
- 身辺メモ
取材をしているうちに、「テトぐるみ」までも御自身が作ったと勘違いされたのでしょうか?
以下の記事も気になりました。
「昇り龍」を鑑賞する (2008.9.5)
「デビル」を鑑賞する (2008.11.14) / 「デ・ビル」に夢中 (2009.11.20)
ゴミネットを鑑賞する (2009.5.22)
祐天寺・漁師の休息【前編】 (2009.4.15) / 【後編】 (2009.4.30)
デイリーポータルZに書いたネタ」によると、これらの記事にはそれぞれネタの提供者がいるのですが、実際の記事にはそのことについて触れられておりません。
その提供者の方たちは、過去に大山さんの記事でも紹介されており、あえて伏せる必要も感じられません。
多くの閲覧者がいるデイリーポータルZで、このような形で大山さんが記事を書くことにより、ネタ元の方が逆に大山さんのフォロアーのように勘違いされる可能性もありますが、なぜネタ元の明示をしなかったのでしょう?
やはり、記事を書いているうちに、御自身の発見だと勘違いしたのでしょうか?
友人だから許されるのかもしれませんが、そんなことの延長に、今回の問題が起きたのかと思ったりもします。
上記の記事は、リストにネタ元が掲載されていたので確認できましたが、「手のりポッド」の記事については、当然ながらそんな注釈はありません。
私自身が気付かなかったり、「ドアストッパーから作った」という言葉を信じていたら、誰も、大山さん御自身すらも気付かなかったことなのです。
Web上でなく、書籍に掲載されていたりしたら、その確認はもっと困難だったでしょうし、そもそも気付くことすらなかったかもしれません。
以下の記事を読むとゾッとします。
「住宅都市整理公団」別棟:デイリーポータルZに書いたネタ
■手のりポッド(08/02/15)
 テトラポッドも好きなぼく。ペーパークラフトを作ってみた。裏話だが、「ジャンクション」の企画と同時に編集の方に提案していたのがテトラポッド写真集だった。まあ、「テトラポッドは分かりづらい」ということでジャンクションになったわけですが。でもいつかテトラポッド写真集を出したいといまも思っている。話に乗ってくれる出版社の方、連絡をお待ちしております。
(※大山さんは、団地のペーパークラフトの本を出版され、それらを「手のり団地」と呼ばれています。
また、不正の自覚がなかった頃、テトラポッドの写真集やペーパークラフトの構想を話されていました。)
「手のりポッド」と同様ネタ元の注釈の無い記事や、書籍等の中に、今でも御自身すら気付いていない不正が残っていないでしょうか?
経緯を考えれば、大山さんはその可能性を否定することは出来ないはずです。
それならば、この問題を周知させ、心当たりのある方がいないか、呼びかける必要すらあるのではないでしょうか?
それは、大山さん御自身がするべきことではないでしょうか?

大山さんは、団地・工場・ジャンクションと、一般的にはあまり興味が持たれていないものにスポットを当て、その魅力を伝え、新たな価値観の提示をされてきました。
また、「熱中時間〜忙中“趣味”あり〜」という、「熱中人」と呼ばれる様々な趣味にはまった人物を紹介する番組にも、参加されていました。
本来ならば、それらのものや人に敬意を払い、紹介する立場にある人が、今回のような不正をしたということに、大きな問題があると思うのです。
大山さんの元には、人や情報が自然と集まると思いますが、だからこそ、自分のものと他人のものを区別する心掛けが必要だと思うのです。
「熱中時間」の公式ブログで、大山さんは「熱中人」を以下のように定義しています。
熱中倶楽部ブログ:NHKブログ | 熱中人リポート | こんな素敵な乗り物にタダで乗れるなんて「エスカレーター熱中人」
でも、こうやって「自分が面白いと思うことを他の人にもシェアしたい」という情熱は熱中人ならではなのだと思うのです。
いきおい知識の多寡が重視されるのが「マニア」なのだとしたら、共有を重視するのが熱中人かもしれません。
だからといって、他人のものを自分のものにするのは違うでしょう。
シェアするのは「面白さ」であって、他人の作品や発見を自分のもののように話すのは違います。
私は、大山さんのような人が大きな発言力を持ってしまっているということが、むしろ、シェアすることを躊躇させてるようにすら思います。
大山さんを紹介したメディアの責任というものも、あるのかもしれません。

今まで、もったいぶった書き方をしてしまったのですが、私が作ったペーパークラフトは、そんなにたいしたものだとは思っていません。
「テトラポッドのペーパークラフト」という提案に応え、私はただ作図しただけで、その魅力はオリジナルの存在によるものです。
CADソフトの操作に慣れ、高校ぐらいまで数学が得意だった人なら、たぶん、描けると思います。
自慢気に話してるように思われると恥ずかしいので、断っておきます。
それに、Web上にアップしたものですから、ある程度のことは覚悟していたと思います。
「こんなの拾ってきた。」と配られるぐらいのことは、気にしなかったかもしれません。
しかし、「僕が作った」と言って配るのは、それとは全然違います。
そしてそれが著名人によるものであった場合、もっと意味が異なってきます。

今回、大山さんとも連絡が取れないような状態になったところで、私の気持ちに無理やり区切りをつけるため、このような記事を書かせていただきました。
長々と御付き合いしていただき、ありがとうございました。
私自身、もう少しコンパクトにまとめたかったのですが、事実を捻じ曲げたものとならないように注意する必要もあり、なかなか言葉を削ることも出来ず、うまくまとめられずに何度も同じことをクドクドと書いてしまいました。
嫌な気持ちになったかもしれませんが、御理解ください。
大山さんの行動には、ペーパークラフトにも、テトラポッド自体にも敬意がなく、その後の対応にも反省がありませんでした。
それでもうまく騙してくれるならいいのですが、ボロボロと粗が見えてきて、それを無視して許すことは出来ませんでした。
おそらく、大山さんは今でも御自身に非があるとは思っていないのだと思います。
大山さんにしてみれば、和解へと向っていたはずが、訳もなく急に態度を変え、不信感を抱いているのだと思います。
何らかの形で事実が大山さんに伝わり、誤解が解けることを願っています。
そして、自らの問題に気付き、二度と同じあやまちを繰り返さないように対処してほしいです。
それを知ってはじめて、私も今回のトラブルに意味を見つけることが出来ると思います。
大山さんの御知り合いの方がもし御覧になっていたら、ぜひ伝えてほしいと思います。
よろしくお願いいたします。

今回の記事では、テトラポッドや消波ブロック全体に、悪いイメージを抱かせてしまった部分があったかもしれません。
それでも、どうしても抑えることが出来ませんでした。
今後は、その魅力を伝えていくことで、その償いをしたいと思います。
できれば、今後も掲載をさせていただければと思います。


今回の一連の記事は、既に書き上げた記事を分割し、くどい表現を削ったり、ときには追加したりしながら編集し、連載してきました。
実はその連載が始まる直前にある事実が見つかりました。
以下はその追加分です。

■ 2010年4月2日〜11日
4月2日、当記事のために調べ物をしているとき、検索結果に気になる記事を見つけました。
その確認のため、ある雑誌のバックナンバーを取寄せ、4月8日に届きました。
2009年6月30日発売の「SPA!」7月7日号102〜103ページで、ある有名な2人組みのクリエイターと大山さんが、対談をされています。
その際、クリエイターの方たちが製作された玩具と「テトぐるみ」が、プレゼント交換されました。
その記事には、それぞれ交換したプレゼントを手にした3人の写真が、掲載されていました。
このページは、「熱闘! テレビ部」という企画で、この回は、大山さんも出演されたことがある「芸能人こだわり王講座 イケタク」という番組を取り上げていました。
SPA!編集部に確認したところ、この収録がされたのは2009年6月、その内容から考えて、6月8日以降ということがわかりました。
もちろん、事前に不正については知らされておらず、私の報告ではじめて知ったとのことでした。
そして、常識的に考えて、事前に知っていれば、「テトぐるみ」の写真を掲載することは無かったとのことです。
この当時はまだ謝罪記事に差替えられる前のことでした。
大山顕 テトラポッド ぬいぐるみ」なんて検索すれば、「テトぐるみ」の記事が上位にヒットしていた頃です。
この雑誌を通しても、「テトぐるみ」をはじめて知った人もいたでしょう。
そして、現状を考えれば、その多くの人が「テトぐるみ」を大山さんの作品と信じ続けるのです。
当時は既に御自身の不正に気付き、和解へ向けての話をしていた頃です。
大山さんは何がしたかったのでしょう?
この頃から、不正を隠すつもりでいたということでしょうか?
そうでなければ、恥ずかしくて、雑誌で紹介などするはずがないと思うのですが。
そもそも、自分自身に対して、恥ずかしくないのでしょうか?
まったく理解不能です。
トロ・ステーションの件は、既に取材が済んでいたこともあって、SCEに報告しづらかったのだと思いましたが、全然違ったんですね。
まさか、「大山さんへの要望-4」が本当に必要だとは思っていませんでした。
まだまだ、他にも出てくるのでしょうか?
大山さんは常に、私の想像や常識を超えてくれます。
ちょうかっこいい。

●追記
(2010.04.12)
コメントいただきありがとうございます。
以前、「テトラポッドのペーパークラフト」という記事で、私に対する批判的なコメントに対し、まくしたてる様に反論してしまい、せっかくの意見に耳を傾けることが出来ませんでした。
当記事も、そういった意見が出てくると思いますが、今回は反論することなく、耳を傾けたいと思います。
そのため、特に必要と感じない限り、当記事においてはコメントを返さないつもりです。
応援していただく意見に対しても、バランスを取るため、御返事いたしません。
まことに失礼ですが、御了承ください。
また、中には第三者に迷惑をかける可能性のあるコメントもあるかもしれません。
その場合は、すみませんが削除させていただきます。
再度、「メールフォーム」にて御意見をいただければ、答えられる範囲で、削除する必要がある事情を説明させていただきます。
(※メールアドレスの記載をお忘れなく。)

(2011.05.21)
メーカー様の御配慮により「テトぐるみ」の販売が再開され、型紙原型を製作した私にも利益が発生することとなりました。
以前はオリジナルへの敬意を示す意味もあり、「テトぐるみ」の元となった消波ブロックの名称を明記しておりましたが、私自身の立場の変化により、そのことが消波ブロックの名称を利用していることにもなっていました。
この点について、メーカー様と相談した上で、「テトぐるみ」を説明する際には具体的な名称を記載しない形で記述することにしました。
「テトぐるみ」はそもそもがオリジナルへの敬意のもとに生まれたものであり、その製作に関わった者の想いは今も変わりません。

●関連記事
「手のりポッド」「テトぐるみ」について
posted by Mcguffin at 21:47 | Comment(15) | TrackBack(0) | 不正について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする